Vol.59　No.14　2022.11.29発行

今日の会長挨拶は、個人的なことで恐縮ですが、お話しさせて貰います。少し前のことになりますが、9月初旬から10月初旬の約一か月間、急性の「ウイルス性結膜炎」とやらを患い、その間、酷い目の充血と痛みと格闘していました。充血と痛みに加えて角膜の上に偽膜？とかいう膜が出来てしまい、視界が晴れないために資料が読めず、パソコンの画面も滲んでしまい業務を停止せざるを得ない状況でした。また、その間の新聞にも目を通せずにいました。10月初旬になってやっと完治の言葉を眼科医から貰え、改めて目が見えることの有り難さを感じた次第です。

さて、ここからが本題です。

眼病を患っていた間、読めなかった間の新聞を纏めて現在から過去へと「逆読み」しました。この時に興味深かったのは、既に結果が分かっていることを知りながら過去のその時の予想、予測等の内容を読めることです。普通ならば、将来起きることを現在の情報から予想し、予測します。それに対して、「逆読み」は結果を知りながら、過去のこの時、何故このような予想、予測をしたのかというような興味を持って記事が読めました。大袈裟に言えば、将来を知ることができる「タイムマシン」的能力を有した読み方でしょうか。

次に同じようなこと（事業経営に関係した内容）をある経営者からお聞きしました。ゲームソフト開発企業、グリー株式会社（ＧＲＥＥ，Ｉｎｃ．）のＣFOの方からお聞きした「先読み経営」という内容です。同社は事業の性質上、ゲームソフトが当たれば損益は格段に伸びます。逆もまた真なりです。

つまり将来の損益予想が非常に困難です。講師は同社のCFOでした。CFOは通常ではチーフ・ファイナンシャル・オフィサー(最高財務責任者)の意味ですが、ご自分はチーフ・フォーカス・オフィサーの責務を担っていると言われていました。その意味合いは、当企業、当組織が現在何を重要に考え、実行しなければならないかの指針等を定量数値を使って示し、実行に導く役目ですと言われていました。ちなみにCFOはCVCO（チーフ・バリュー・クリエイション・オフィサー：企業価値増強最高責任者）であるべきと言われています。

さて、「先読み経営」の内容です。

多くの企業が事業計画を立て、その単年度分として予算を策定して事業を管理運営しています。また、当該予算と実績とを比較（所謂予実差異分析）して事業を管理しています。

この「予実差異分析」をする場合、多くの殆どの企業が何故実績が予算数値に届かなったかを分析し、担当部門がその原因を発表しています。酷い言い方をすれば、出来なかった言い訳をしているだけです。何れにしても過去の数値に観点を置いています。

「先読み経営」を徹底しているグリー社では、予実差異分析がそのようにされません。実績の方ではなく、計画した予算の方に分析の観点を置きます。何故このような予測をしたか、何故実績で発生したような状況を予想できなかったのか。適切な予想、予測をするためにはどのような情報が不足しているか等々。徹底的に予想、予測にコミットします。まさに先読み（将来志向型）経営です。

この手法で経営管理することで予算精度の品質が格段に向上し、各事業部門における事業管理の自主性、主体性が高まり、会社全体の事業管理の度合いが非常に向上したそうです。予算制度がなかなか上手く運営できない、現業部門の自主的事業管理が上手く出来ていない場合に役立つ方法かも知れません。お試し下さい。

11/12,13　地区大会に出席