Vol.59　No.22　2023.2.14発行

本日の会長挨拶は、読まれた方も多いかと思いますが、1月18日の日経新聞朝刊に掲載されたアウトドアー用品大手「パタゴニア社」創業者イボン・シュイナード氏による同社の経営方針等に関する談話内容です。

サスティナブルな（持続可能な）社会を目指す企業の一つの方向性だと感じました。

SDGsにも繋がる内容ですので紹介させて貰います。

同社が環境経営の先駆者と言われる具体的な内容：

・毎年売上高の1％を環境保護団体に寄付

2018年に経営目的を「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に変更

この経営目的が建前に終わることなく具体的な施策が以下にように存在します。

・社会や環境への貢献を重視する「Bコープ」認証企業

従業員は世界で約3,000人。製品には環境負荷が少ない素材を使い、修理にも注力。

（Ｂコープ認証：社会や公益のために事業を行っている企業に発行される国際的民間認証）

・環境関連ベンチャーに投資

自然保護や食糧といった分野のスタートアップ企業を支援。素材の開発などで協業も。

・サスティナブル経営で世界2位

英社などが毎年実施するランキングで。持続可能な製品づくりへの評価は高い。

・創業家が全株式を寄付

新たな会社の所有者は目的信託と非営利団体。環境保護の資金を増やすため2022年に実施。配当額は、1億ドル（1ドル・130円換算で130億円）。

また、このようにも言われています。

同社は、山用具を製造してきており、壊れれば人命を奪う。ということから環境と社会への責任が生れた。

企業が上場すれば、株主の半分は環境保護に資金を使うことを支持しても、残りに半分は「配当せよ。そのために投資した。」と言うだろう。

これでは思い切った決断ができない。

株式上場を目指される企業のご支援をしてきました会計士としての経験から言えば、確かに上場前はユニークな経営をされていた企業が、上場後は平凡な企業になってしまい、魅力が無くなってしまうことは多々あります。

ESG投資が叫ばれているが、産業界の取り組みの殆どがグリーンウォッシング（見せかけの環境対応）だ。

過度な巨大化に用心することだ。どんな挑戦にも望ましい規模がある。それを超すと死に至る。

最後にこのように言われて〆られています。

人間も他の動物と同じで、自然との精神的な結びつきがいる。全員がそう考えるまで、この惑星を救うようなことは起きない。

自然の一部だと心底思う。朝に目覚め、自分にわくわくする。ここが私たちの唯一の故郷だ。火星には移住しない。

ESG、SDGsと離れても企業経営にも、人生訓としても参考になる内容ではないでしょうか。

東海東京証券（株）　チーフグローバルストラテジスト　仙石 誠　様​

～変化が期待される今後の株式市場について～

欧米では景気減速への警戒心が強い　米国の利上げも年末には終盤戦か　今後はインフレのピークアウトに期待

株は景気が悪い時が買場となる　米利上げが終了すれば、米国株は反発に転じる可能性　米国株の自社株買い減少に注意

ヘッジファンドの解約は収まる可能性が高い　大規模な自社株買いの発表が相次ぐ日本株式市場

TOPIXの予想EPSは過去最高水準を維持　今期も来期も安定的な成長が見込まれる日本企業　継続的な売り越しが続く海外投資家

海外投資家の影響度は買いの方が大きなまま　２年連続で買い越しとなった個人投資家　レンジ相場が続く日本株

海外投資家の大幅売り越し局面は日本株を安く買える可能性がある　個人投資家は拡大傾向が継続

個人投資家は20年3月末で過去最低の保有比率だった　新NISAは個人投資家をより増加させる可能性が高い

積立NISAを中心に口座開設件数は好調　NISAマネーは若い世代が中心　パフォーマンスが高いバリュー指数

日本株のパフォーマンスは決して悪くない　株主優待銘柄にも注目　今年は株主優待銘柄のパフォーマンスが高い

過去と比較して現在は割安な水準　積みあがる日本株の１株あたり純資産　日本株の売り手は去年も今年も海外投資家と金融機関

保有比率の減少が小さい日本株式市場　海外投資家と政策保有株比率を合算して比率が低い業種に注目

政策保有株は落ち着く傾向もみられる　特に大型株でも持ち合い解消売りが減っている

世界景気が回復する局面となれば、海外投資家が日本株に注目する可能性がある

円安によりMSCIジャパンの指数構成銘柄数は大幅に減少　海外投資家は円高になった方が日本株のパフォーマンスは良くなる

海外投資家の季節性には注意　インフレのカギを握るのは賃金の上昇