Vol.59　No.24　2023.3.7発行

本日例会の会長挨拶は、少し重い内容ですが我が国のジェンダー問題について少しお話しさせて貰います。ジェンダー問題は、SDGsの具体的内容であり、RI会長の今事業年度テーマ「DEI」にも深く絡んだ事柄です。広くジェンダー問題を捉えたところから最近に起きた事柄にこの様なものがあります。

・小倉内閣府特命大臣（少子化対策、男女共同参画、こども政策担当、女性活躍担当等）が7.3キロの「妊娠ジャケット」を2日間着用して大変だったとの感想への批判

妊婦は、もっともっと長い10ヶ月の期間そのような大変な思いをしており、それに続く出産の痛みとかがあるんだと。2日間くらいのことで大変さが分かっただなんて言って欲しくないとの批判。

・麻生副総裁の少子化の原因が「出産女性の高齢化のために少子化があり、体力的に問題があるかも知れない」との発言への批判

少子化問題について女性だけに問題があるような発言に対し、何故高齢出産になってしまうかの社会の構造、若い世代の経済的不安、教育問題等々の根本的な問題意識がないのではないかとの批判。

・岸田首相の秘書官がＬGBT、同性婚について「隣に住んでいるのも嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人も出てくる」との発言により罷免人事。

同氏は非常に有能であり、将来に経済産業省の事務次官も在りかと言われていた人材のようです。本来、政策立案担当のところを広報も担当していたとのことです。

G7の国で同性婚を認めていないのは我が国だけ。個人の主張、価値観は色々あって当然だが、それが差別になってはいけない。

行政の中枢に絡む立場の者が差別に繋がりかねない発言は、我が国の姿勢を疑われるとの批判。

更に最近起きた事柄ではありませんが、ジェンダー問題とは少し観点が異なるものの夫婦別姓問題も根っこは同じように感じます。

自民党内で夫婦別姓に反対している人たちには、結婚したら「女は男の下で従順にしろ」との意識があるように感じます。

そして別姓を認めると家族がバラバラになってしまうとの懸念があると。

現状の日本の若い夫婦の家庭では、共働きが普通となっています。「主夫」なんて言葉もあり、男が外で働き、女は家庭を守るという形態が普通という価値感が無くなりつつあります。

私の回りの女性では、結婚後も業務の上では旧姓を使っている人も多いです。ジェンダーギャップが小さい国は出生率が高くなる傾向があるようですが、これは結果です。

我が国では、ジェンダー問題を差別を無くす、女性の活躍を推進するというような観点ではなく、人口減少を食い止めるためのものとの意識がかなり強いように思います。手段と目的が逆転してしまっているように感じます。

何れにしても非常に重要、且つ従来の日本社会の価値観を問われる問題です。また、色んな施策を実行しても効果・結果が現れるのは何十年か経ってからです。敢えて言えば、国防問題よりも重要かと思います。

この問題は、国とか、政府とかが考える前に我々国民一人ひとりが意識を持って真剣に考えるべき事柄だと思います。

先週木曜日に「ロータリー女性の集いPARTⅡ」に参加しました。参加者（男女半々）の女性を含めた多くの方々が、ロータリーで女性会員を増やすには逆説的ですが、「女性とか男性とかを考えないこと」ではないかと言われていました。この意識ではないかと強く思いました。

2/18　西三河中分区ＩＭに参加

卓話者 自然科学研究機構　分子科学研究所長　　渡辺 芳人 様